近年さまざまなところでお目にかかるポイントカードやポイントアプリですが、その便利さとは裏腹に、税務には取り扱いに頭を悩ませることもあります。今回は、ポイントプログラムに参加している店舗が支払った負担金が、消費税の課税仕入れに該当するかが争われた事例(令和3年10月7日裁決)を紹介します。

対価性ありとして更正の請求

美容室を経営するA社は、B社が運営するポイントプログラムに参画していました。店舗でサービスを利用した会員に対して利用料金に応じたポイントを付与し、付与されたポイントは参画事業者の店舗で利用できるものです。参画する事業者は、ポイント付与の対象サービスに対して一定の割合でその原資を負担することとなっており、計算対象月の末日までにその月の負担金をB社に支払うこととなっていました。その支払いの際にB社が発行する「自動引き落としのご明細」には、請求金額に係る「消費税等」欄に0円が、「引落額」欄の下部には消費税等は含まれていない旨が表記されていました。

A社は当初の消費税の確定申告において、負担金について課税仕入れの計算に含めていませんでしたが、その後この負担金は課税仕入れの対象になるとして更正の請求を行いました。しかし税務署が更正を認めない通知を行ったため、A社は国税不服審判所で争うこととしました。

A社は、ポイント負担金として支払った金額は、名目的には会員が得たポイントの原資を負担するが、実質的には売上高に応じて発生するサイトの掲載サービスまたはポイントプログラムの利用に係る対価であるから、消費税法に規定する課税仕入れに係る支払対価の額に相当すると主張しました。

課税資産の譲渡等に当たらず

これに対し税務署は、ポイント負担金として支払った金額は会員が得たポイントの原資を負担したものにすぎず、B社から資産を譲り受け、借り受け、役務の提供などを受けた対価として支払ったとは認められないとして、消費税法に規定する課税仕入れに係る支払対価に該当しないと反論しました。

審判所はまず、負担金として支払った金額が、課税仕入れに係る支払対価の額に該当するか否かは、「個別具体的な課税資産の譲渡等が行われたことを条件に負担金が支払われたといい得る対応関係」があるかで決せられると前提を置きました。

そのうえで、この負担金は会員がサービスを利用した場合に一定割合で付与されるポイントの原資として支払われたものであり、B社の消費税の計算上も課税資産の譲渡等の対価の額とされていないことから、A社において課税仕入れに係る支払対価に該当するとはいえないとしました。そしてこのことは「自動引落のご明細」の「消費税等」欄に0円と表記されていることとも整合するとし、負担金として支払った金額は個別具体的な課税資産の譲渡等が行われたことを条件として支払われたといい得る対応関係は認められないから、消費税法に規定する課税仕入れに係る支払対価の額には該当しないと結論付けました。

【教訓】

自分が目の当りにしたら迷ってしまうような事例ではありますが、「自動引落のご明細」の「消費税等」欄に消費税が記載されていないというのは大きな判断基準となりそうです。ポイントの処理に迷った際には取引先の処理との整合や書類の記載をしっかり確認したところです。