税務調査で新たに発見された資料に基づいて課税処分が行われ、その資料について納税者が不知であることや内容についての疑義を申し立てたときには、その資料の真偽のほどが問われることになります。今回は、金銭の授受が贈与に当たると判断できる「確認書」の真偽が争われた事例(平成30年7月9日裁決)を紹介します。

贈与に該当するという「確認書」が存在

法人の代表取締役Aさんは、共通の知人を通じて知り合ったBさんと頻繁に飲食を共にしていました。ある年の1月16日、AさんはBさんから小切手を受け取り、それを金融機関で金銭に換えてAさん名義の預金口座に入金しました。この小切手の受領について当初Aさんは税務申告をしていなかったのですが、3年後に贈与税の申告書を作成して、その年に贈与があったとして税務署に提出しました。

この申告に対して税務署は、金銭の貸し借りとしての書面を作成するというBさんの知人からの提案に対してAさんが「貸し借りではなくもらったもの」と回答したことや、Bさんの署名押印のある「確認書」の存在を調査で把握。その確認書には「貴殿に対し、過日お支払いいたしました金銭につきましては、私において貴殿に対し贈与したもので、後日その返還等を求めることはありませんので、本書をもって確認申し上げます。」との記載があったため、税務署はその時点で贈与があったものと判断。3年遅れて申告をしたAさんに無申告加算税の賦課決定処分を行いました。しかしAさんはその取り消しを求めて争うこととしました。

「確認書」の信ぴょう性は揺るがず

Aさんは当初に受領した小切手はBさんからの預かり金であり贈与ではないと主張。さらに税務調査では確認書が作成された経緯や記載内容について質問検査が行われず、調査官が存在をほのめかしていただけだったため内容を把握していなかったと訴えました。1月16日付の確認書に「過日お支払いいたしました」と記載されていることは、この確認書が1月16日における金銭の授受を対象としたものではないことの証明であり、賦課決定処分は不当であると反論しました。

審判所は、Aさんが金銭の貸し借りに係る書面を作成することの提案に対してBさんからもらったものであると回答したこと、確認書に金銭の贈与をした旨および返還を求めることはない旨が記載されていたことからすれば、AさんはBさんから贈与を受けたと認めるのが妥当であると判断しました。預かり金であるというAさんの主張については、審判所による調査でも預かり金であったことを証明する根拠はなかったと断定。「過日お支払いいたしました」と記載されていることについては1月16日以前においてその他にBさんからAさんに対して同額の金銭が支払われたとは認められないとして、確認書は1月16日の金銭の受け渡しを対象としたもので、税務署による賦課決定は妥当であると結論付けました。

【教訓】

確認書のような資料が出てきてしまった以上は、審判所で争うのは無理筋だったかもしれません。しかし日付を巡る争いに関しては、もし内容に整合性がなく、確認書の内容に疑義があるという主張が認められれば賦課決定処分自体が見直されることになったかもしれません。追い詰められたときは、そういう一点集中の主張で戦う方法があるというのは少しだけですが参考になった気がします。